シラバス情報

授業情報
※身につく能力について
複数の学科・専攻・コースで開講されている科目は、開講を担当する学科・専攻・コースの定めた「身につく能力」を表示しているため、履修要項・大学院要覧記載の「身につく能力」とは異なるものが表示されていることがあります。
授業によっては、「身につく能力」の記載がない場合もあります。
そのため「身につく能力」については履修要項・大学院要覧も確認するようにしてください。
授業コード   Course Code 1CF0092000
授業開講年度   Year of Class 2024年度
授業形態   Course Mode 講義(対面授業)
授業名称   Class Name LFFAP309フランス社会の諸相A
テーマ   Theme
科目名   Name of Subject LFFAP309フランス社会の諸相A
英字科目名
English Name of Subject
Aspects of french society A
身につく能力
Ability to be Acquired in This Class
◎=科目に最も関連する能力
〇=科目に関連する能力
知識・理解 フランス語圏の言語・文化についての広範な知識
知識・理解 フランス語圏の言語や文化についての個別的知識の習得
汎用的技能 情報収集力
汎用的技能 フランス語の実践的な運用能力及び知識をもとにした思考の相対化
態度・志向性 多様な文化のあり方を追求する姿勢
統合的な学習経験と創造的思考力 問題提起力
統合的な学習経験と創造的思考力 論理的かつ説得的見解を述べる力
科目単位数   Credit 2
履修期   Term 春学期
教員氏名   Name of Teacher 野村 佳世
開講キャンパス   Campus 白金
曜時   Day and Period 火曜2時限(春学期)
授業概要   Course Description 本講義では、現代フランス社会を理解するために、「共和主義」をキーワードに検証していく。そのために、まずはフランス社会を知るうえで必要な社会構造の基礎知識を概説し、次に共和主義とそこから派生する学校、ジェンダー(家族・女性の地位や子育て)、コロニアリズム、中央集権に関するさまざまな問題を取り上げる。こうした内容を踏まえて、フランスの社会問題と共和主義の関係性について理解できる。

一連のテーマ検証を通して、フランス革命で生まれた共和主義が過去のものではなく、現代にも大きな影響を与えている現状を理解する。また、映像資料や時事問題を取り扱うことで、問題を具体的なイメージで把握する。こうした内容を通して、フランスという他文化の背景や価値観を学び取り、日本社会との比較の視点を得られる。

授業は講義形式でおこなう。各テーマが終了するたびに、リアクション・ペーパーの提出を求める。
到達目標   Class Goals ・フランスの「共和主義」を研究できる
・フランスの歴史的背景(「文脈」)を理解し、それぞれの社会にある「文脈」(この場合は共和主義)が社会に与える影響力を説明できる
・社会ごとに異なる「文脈」があることを理解し、フランス以外の事例にこれを分析手法として応用できる
・社会問題の原因を究明する洞察力が養われる
・社会間の構造・価値観・文化の相違を比較し、各社会の多様性を説明できるようになる
・多様化する社会のあり方やそうした現実に、個人としてどのように対応すべきなのかを主体的に考え、行動できる
授業言語   Language 日本語+フランス語
アクティブ・ラーニング   Active Learning アクティブ・ラーニング対応
授業計画
Daily Class Schedule
【第1回】 授業内容
Content/Topic
Introduction
予習内容
Preparation for Class
講義で取り上げるテーマ(学校、ジェンダー、コロニアリズム、中央集権)に関する文献を探しておく。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
「文脈」を使った分析の有効性についてまとめておくと、第5回目以降の講義を理解するのに役立つ。 目安時間
Hours
2 時間
【第2回】 授業内容
Content/Topic
基礎知識―国土・人口・政治制度―

フランスの国土(面積、地形など)、人口(都市別、人口ピラミッドなど)、政治制度(行政機構、第五共和政歴代大統領、選挙制度、主要政党など)について、日本との比較をデータを用いながら紹介し、現代フランス事情を把握する。
予習内容
Preparation for Class
参考文献のフランス外務・欧州問題省編(宝利桃子訳)『最新フランス・ハンドブック』に目を通す。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
レジュメを使って、データの比較から見えたフランスと日本との違い(esp.高齢化社会だが出生率の高さ)がなぜ生まれたかについて、要因を考えておくと、ジェンダーをテーマにした講義を積極的に取り組める。また日本との類似点(esp.地方の過疎化)についても、その要因を考えておくと、中央集権をテーマにした講義に積極的に取り組める。 目安時間
Hours
2 時間
【第3回】 授業内容
Content/Topic
基礎知識―経済―

経済の基本的な諸データを使って、フランス経済の全体像を把握するほか、労働力や失業率に関するデータを性別・地域別・年齢別・学歴別に細かく検証していく。
予習内容
Preparation for Class
参考文献のフランス外務・欧州問題省編(宝利桃子訳)『最新フランス・ハンドブック』に目を通す。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
労働力や失業率に関するデータを性別・地域別・年齢別・学歴別に細かく検証した結果、全体的な数字だけでは見えて来ないフランスのさまざまな格差や差別の実態を確認しておくと、第5回目以降の各テーマを具体的な問題意識を持って取り組むことができる。 目安時間
Hours
2 時間
【第4回】 授業内容
Content/Topic
共和主義とは何か(リアクション・ペーパー提出予定)

フランス革命から第五共和政までの近現代史を振り返りながら、共和主義の成り立ちと特徴、内在する問題点などを解説する。
予習内容
Preparation for Class
参考文献の三浦信孝編『普遍性か差異か―共和主義の臨界、フランス―』に目を通す。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
レジュメを使って、共和主義の特徴と歴史的経緯の関係性をまとめておく。共和主義は本講義のキーワードなので、内容を繰り返し確認して把握することが、テーマ別議論を理解するうえで不可欠となる。 目安時間
Hours
2 時間
【第5回】 授業内容
Content/Topic
学校制度と課題―概説―

フランスの学校制度を説明し構造を理解したうえで、学歴や資格が将来に与える影響力の大きさや学校の成績と社会階層の関係、学校文化と共和主義の関係などについて分析していく。
予習内容
Preparation for Class
中野裕二ほか編『排外主義を問いなおす―フランスにおける排除・差別・参加―』や園山大祐編『教育の大衆化は何をもたらしたのか–フランス社会の階層と格差–』、『フランスの社会階層と進路選択–学校制度からの排除と自己選抜のメカニズム–』、ブルデュー&パスロン著(石井洋二郎監訳)『遺産相続者たち』などの参考文献に目を通す。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
学歴や資格が就職先の決定に大きな影響力を持っているなかで、学校の成績が「特定の文化=共和主義」をベースに設定されている状況が、1960年代には階級問題として、今日は移民問題や文化的多様性の問題として噴出している構造をレジュメを使って再確認しておく。そうすることで、共和主義が現代フランス社会に「文脈」として影響していることやフランス社会の文化的多様性が直面する課題を理解できる。 目安時間
Hours
2 時間
【第6回】 授業内容
Content/Topic
学校制度と課題―映画『パリ20区、僕らのクラス』の鑑賞―
予習内容
Preparation for Class
参考文献のミシェル・パンソン/モニク・パンソン=シャルロ『パリの万華鏡―多彩な街の履歴書―』に目を通し、パリ20区の地域的特徴を把握しておく。また、前回のレジュメを熟読して、フランスの学校制度を理解しておく。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
映画の内容と感想をメモし、次回のリアクション・ペーパーの準備をしておく。また、映画の内容を前回の授業で取り上げた学校制度の問題点から分析しておく。 目安時間
Hours
2 時間
【第7回】 授業内容
Content/Topic
学校制度と課題―映画『パリ20区、僕らのクラス』の検証―(リアクション・ペーパー提出予定)
予習内容
Preparation for Class
第5回目のレジュメと前回の復習内容を確認しておく。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
学歴から生まれる格差の問題と共和主義がどのように関連しているのかについてまとめる。これにより、社会における「文脈」の重要性を理解できる。 目安時間
Hours
2 時間
【第8回】 授業内容
Content/Topic
フランスの家族事情―多様な家族のあり方―

カップルや家族に関するデータを用いながら、日本とフランスを比較してフランスの特徴を把握する。また、フランスにおける家族の多様性の背景に共和主義がどのように関与しているのかも考える。
予習内容
Preparation for Class
INSEE(Institut National de la Statistique et des Etudes Economiques):http://www.insee.fr/fr/や総務省統計局:http://www.e-stat.go.jp/から関連する情報をチェックしておく。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
現代フランスにおける多様な家族像を可能にした共和主義の影響力をレジュメで確認し、社会の多様性を支える要因についてフランスの事例から学ぶ。 目安時間
Hours
2 時間
【第9回】 授業内容
Content/Topic
子育てと女性の仕事

日本と異なり、「ワーキング・マザー」が多いフランス。なぜ女性の社会進出が可能になったのかについて、その背景を価値観や制度から説明する。
予習内容
Preparation for Class
井上たか子編『フランス女性はなぜ結婚しないで子どもを産むのか』やドラ・トーザン『ママより女―母より、妻より女のフランス 女より妻、妻より母の日本―』、中島さおり『なぜフランスでは子どもが増えるのか―フランス女性のライフスタイル―』、牧 陽子『産める国フランスの子育て事情―出生率はなぜ高いのか―』などの参考文献に目を通す。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
現代フランスにおける女性の活躍についてフランスの事例から学ぶと同時に、前回と同様に、女性の多様な生き方を可能にした共和主義の影響力をレジュメを使って再確認する。これによって、共和主義というフランスの「文脈」が社会の多様性を支える要因として貢献している現状を理解でき、日本社会への適用可能性について発展的に議論できる。 目安時間
Hours
2 時間
【第10回】 授業内容
Content/Topic
フランスにおける女性の地位と権利―パリテ(parité)を中心に―(リアクション・ペーパー提出予定)

前回と前々回の内容と異なり、ジェンダー格差が改善されない分野がフランスにはいくつか残っている。その代表的なものが、政治の場における女性の過少代表性(女性議員の割合・数の少なさ)である。ここでは、議員数の男女同数制を唱えた「パリテ」の議論を通して、フランスに残されたジェンダーの課題を考える。そして、最近の状況から「パリテ」の効果とそこから浮かび上がる共和主義の矛盾を検証する。
予習内容
Preparation for Class
植野妙実子・林瑞枝編『ジェンダーの地平』や糠塚康江『パリテの論理―男女共同参画の技法―』などの参考文献に目を通す。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
前回と前々回の内容から得られた共和主義の効果とは対照的に、ジェンダーに関する残された課題を検討することで見えてきた共和主義の限界について、レジュメを使って振り返る。これにより、変えられない問題に対する「文脈」が社会に与える影響力の大きさを再認識できる。その一方で、急速に政治の場における女性の過少代表性が改善された現状についても、その要因を考えておくと、「文脈」から生まれる社会問題をどのように見直せるのかを知る糸口となる。 目安時間
Hours
2 時間
【第11回】 授業内容
Content/Topic
フランスと植民地―歴史的考察ー

フランスの植民地の歴史と植民地における制度について紹介すると同時に、共和主義がいかにして植民地支配を支えてきたかを説明する。
予習内容
Preparation for Class
N.バンセル、P.ブランシャール、F.ヴェルジェス著(平野千果子・菊池恵介訳)『植民地共和国』や平野千果子『フランス植民地主義の歴史―奴隷制廃止から植民地帝国の崩壊まで―』、松沼美穂『植民地の〈フランス人〉―第三共和政期の国籍・市民権・参政権―』などの参考文献に目を通す。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
植民地支配を正当化する共和主義の論理、すなわち問題点についてレジュメを使って整理する。今日に続く社会問題に与える共和主義の負の影響を認識し、社会における「文脈」の重要性を理解する。 目安時間
Hours
2 時間
【第12回】 授業内容
Content/Topic
フランスと植民地―映画『デイズ・オブ・グローリー』の鑑賞・検証―(リアクション・ペーパー提出予定)
予習内容
Preparation for Class
前回のレジュメを熟読する。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
映画の内容に共和主義の影響がどのように反映されていたのかについて分析してまとめておく。そうすることで、問題を深く分析する洞察力が身につく。 目安時間
Hours
2 時間
【第13回】 授業内容
Content/Topic
共和国と地域的多様性―中央と地方の権力関係―

政治と経済における中央と地方のアンバランスな力関係について取り上げる。ここでは、地方分権の議論を用いて検証していく。
予習内容
Preparation for Class
2018年に起きた「黄色いベスト運動」について調べておく。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
「黄色いベスト運動」の背景にある問題と講義で説明した地方分権の議論との関連性を確認する。その背景にある共和主義の影響力についてまとめておくと、フランスにおける地域格差の原因を理解できる。 目安時間
Hours
2 時間
【第14回】 授業内容
Content/Topic
共和国と地域的多様性―言語問題を中心に―(リアクション・ペーパー提出予定)

文化面における地方と中央の格差の問題を地域少数言語に絞って議論する。
予習内容
Preparation for Class
参考文献の原輝史・宮島喬編『フランスの社会―変革を問われる文化の伝統―』に目を通す。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
文化的支配の背景にある共和主義の影響力について、レジュメを振り返りながら確認する。 目安時間
Hours
2 時間
【第15回】 授業内容
Content/Topic
まとめと課題作成ー現代フランス社会に対する共和主義のインパクトー
予習内容
Preparation for Class
これまでのレジュメを熟読しておく。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
講義で扱ってきたさまざまなテーマのなかで、最も関心のある論点を選び出し、期末レポートを作成する。 目安時間
Hours
2 時間
授業に関する注意事項   
Remarks for Class
映像鑑賞後のリアクション・ペーパーの提出は、manabaを通しておこなう。また提出物に対しては、毎回教員からコメントが返信される。

manabaにアップロードされている資料を無断転載・引用することは認めない。さらに、無断で授業を録画することも認めない。

リアクション・ペーパーを提出した翌週の講義冒頭で、学生の質問に回答したり、出された意見に対して教員がコメントしたりする。教員側の説明に対して、さらに学生から質問や意見がある場合は、時間をとってディスカッションをおこない、議論・理解を深める。

期末レポートは返却しない。コメントが必要な学生は、その旨を提出の際に教員に伝えることで、後日メールでレポートに対するコメントが受けられる。
教科書   Texts 資料はすべてmanabaにアップロードする。
参考書   Reference Books 授業計画の予習欄に記載した文献のほか、授業中に適宜紹介する(レジュメ参照)。
課題フィードバック方法区分
Assignment Feedback Method
授業時間内に講評・解説を行い、授業時間外はmanabaで行う
課題フィードバック方法内容
Assignment Feedback Method Content
成績評価の基準   
Evaluation Criteria
授業への参加度(10%)、取り組み姿勢(20%)、レポート(70%)で評価する。

取り組み姿勢については、授業中に提出を要求する5回のリアクション・ペーパーで採点する。

またレポートについては、内容の正確性・論理性・具体性を踏まえて総合的に評価する。レポートの内容や評価基準に関する詳細は別途、学生にプリントで知らせる。レポートが未提出の場合は、単位を認定しない。
関連URL   Related URL
備考   Notes
添付ファイルの注意事項   Notice
更新日時   Date of  Update 2024年02月13日 17時25分32秒