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授業情報
※身につく能力について
複数の学科・専攻・コースで開講されている科目は、開講を担当する学科・専攻・コースの定めた「身につく能力」を表示しているため、履修要項・大学院要覧記載の「身につく能力」とは異なるものが表示されていることがあります。
授業によっては、「身につく能力」の記載がない場合もあります。
そのため「身につく能力」については履修要項・大学院要覧も確認するようにしてください。
授業コード   Course Code 1HC2160000
授業開講年度   Year of Class 2024年度
授業形態   Course Mode 講義(対面授業)
授業名称   Class Name SGLEC226社会的相互行為論
テーマ   Theme
科目名   Name of Subject SGLEC226社会的相互行為論
英字科目名
English Name of Subject
Theories of Social Interaction
身につく能力
Ability to be Acquired in This Class
◎=科目に最も関連する能力
〇=科目に関連する能力
知識・理解 ①社会学的な理論と概念に関する知識
知識・理解 ②現代社会の諸問題に関する知識
汎用的技能 ③社会調査の知識・技能
汎用的技能 ④社会学的考察を伝える実践力
態度・志向性 ⑤社会を論理的かつ批判的に考察する態度
統合的な学習経験と創造的思考力 ⑥課題発見力・問題解決力
科目単位数   Credit 2
履修期   Term 春学期
教員氏名   Name of Teacher 田中 剛太
開講キャンパス   Campus 白金
曜時   Day and Period 火曜4時限(春学期)
授業概要   Course Description この授業は、科目名は「社会的相互行為論」ですが、実質的な内容は「会話分析入門」です。「社会的相互行為」の中でも最もミクロなものと言える「会話」を直接扱います。

私たちは言葉を用いて日常生活の中で様々なやり取りや活動を当たり前に行っています。この授業では、そうしたやり取りがどのように為されているのかを、具体的なデータを見ながら考えていきます。日常的に経験するような身近なやり取りのデータ(音声データ・ビデオデータ)を手掛かりに、私たちが気づかないうちに用いている様々な概念、規範、カテゴリーなどに敢えて注目していきます。
到達目標   Class Goals 理論や学説をたどっていく授業ではありません。やり取りを録音・録画した生のデータや、それを書き起こしたトランスクリプトを見ながら、そこで「何が起きているのか」「どういう秩序の上に成り立っているのか」「なぜ今この発話が為されたのか」「そこにはどういう社会規範が働いているのか」といったことを分析する目を持つこと、またそれを記述するという作業に慣れることを目指します。
授業言語   Language 日本語
アクティブ・ラーニング   Active Learning アクティブ・ラーニング対応
授業計画
Daily Class Schedule
【第1回】 授業内容
Content/Topic
イントロダクション
 相互行為とは? 
 なぜ会話に注目するのか?
予習内容
Preparation for Class
教科書の第6章にできるだけ目を通しておくこと。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
授業内容を振り返った上で、普段、自分がよく経験している(という自覚のある)、会話の中で起きる現象を思いつくだけ挙げてみよう。例えば会話での癖とか傾向といったことでもよい。 目安時間
Hours
2 時間
【第2回】 授業内容
Content/Topic
電話で話す①
 電話の開始部門
予習内容
Preparation for Class
教科書の第6章6-2を読み、参考書1に目を通しておくこと。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
・授業で扱った会話データを繰り返し視聴することを通して授業内容を確認しよう(※会話データの音源・動画とトランスクリプトはmanabaにアップします)。
・自分が誰かと電話で話す時の、最初(電話の開始部門)のやり取りについて考えてみよう。
 相手との関係性や用件によって、「用件に入るまでのやり取り」にはどのような傾向・違いがあるだろうか?
目安時間
Hours
2 時間
【第3回】 授業内容
Content/Topic
電話で話す②
 電話の終了部門
予習内容
Preparation for Class
参考書2にできるだけ目を通しておくこと。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
・授業で扱った会話データを繰り返し視聴することを通して授業内容を確認しよう。
・自分が当事者となった実際の日常会話(対面リアル、電話、オンライン会議等)における「会話の終了部門」について考えてみよう。「会話の終了のほのめかし」と取れるような発話にはどのようなものがあるだろうか?
目安時間
Hours
2 時間
【第4回】 授業内容
Content/Topic
携帯電話で話す
予習内容
Preparation for Class
参考書3を読んでおくこと。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
授業内容を振り返った上で、自分の普段の携帯電話での会話について考えてみよう。電話の相手によってどのように「親しさを示し合うこと」をしているだろうか? 目安時間
Hours
2 時間
【第5回】 授業内容
Content/Topic
発話の順番交替
予習内容
Preparation for Class
教科書の第6章6-1を読み、参考書5、もしくは参考書11に目を通しておくこと。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
・授業で扱った会話データを繰り返し視聴することを通して授業内容を確認しよう。
・日常の会話において「発話の重なり」や「発話間の沈黙」が生じた時、何が起きているか観察してみよう。
目安時間
Hours
2 時間
【第6回】 授業内容
Content/Topic
連鎖の組織
予習内容
Preparation for Class
教科書の第6章6-2を読み、参考書6の「1.連鎖の組織」、もしくは参考書10に目を通しておくこと。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
・授業で扱った会話データを繰り返し視聴することを通して授業内容を確認しよう。
・ここまでの授業で扱った会話データ全てを再度視聴して、観察できる「行為の連鎖」を挙げ、その連鎖の組織がどうなっているかを分析・記述してみよう。
目安時間
Hours
2 時間
【第7回】 授業内容
Content/Topic
否定的な応答をする
 「優先性」について
予習内容
Preparation for Class
教科書の第6章6-4を読み、参考書6の「2.優先組織」に目を通しておくこと。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
・会話における様々な「優先的なこと」「非優先的なこと」を挙げてみよう。
・日常の会話において「非優先的な応答」がなされた時、それがどのようになされているか、それによって話者は何をしているか観察してみよう。
目安時間
Hours
2 時間
【第8回】 授業内容
Content/Topic
言い直す・聞き返す
 「修復」について
予習内容
Preparation for Class
教科書の第6章6-3を読み、参考書7、もしくは参考書14に目を通しておくこと。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
・授業で扱った会話データを繰り返し視聴することを通して授業内容を確認しよう。
・日常の会話において「修復」が生じた時、何が起きているか観察してみよう。
目安時間
Hours
2 時間
【第9回】 授業内容
Content/Topic
物語・エピソードを語る
予習内容
Preparation for Class
教科書の第7章7-2を読み、参考書8、もしくは参考書13に目を通しておくこと。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
・授業で扱った会話データを繰り返し視聴することを通して授業内容を確認しよう。
・日常の会話において物語・エピソードが語られる時、その物語・エピソードがどのような構成になっているか、また聞き手はどのような役割を期待され、それを果たしているか(いないか)観察してみよう。
目安時間
Hours
2 時間
【第10回】 授業内容
Content/Topic
笑う・からかう
予習内容
Preparation for Class
教科書の第7章7-2を読んでおくこと。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
・授業で扱った会話データを繰り返し視聴することを通して授業内容を確認しよう。
・ここまでの授業で扱った会話データ全てを再度視聴して、笑いが起きている全ての箇所について、何がなされているか、なぜ笑いが起きたかなど、観察できることを記述してみよう。
目安時間
Hours
2 時間
【第11回】 授業内容
Content/Topic
ニュースを伝える
予習内容
Preparation for Class
教科書の第7章7-3を読み、参考書9に目を通しておくこと。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
・授業で扱った会話データを繰り返し視聴することを通して授業内容を確認しよう。
・日常の会話においてニュースが伝えられる時、そのニュースがどのような構成になっているか、また聞き手がそのニュースをどう扱っているか観察してみよう。
目安時間
Hours
2 時間
【第12回】 授業内容
Content/Topic
発話を協働で完了する
 「先取り完了」について
予習内容
Preparation for Class
参考書5の75ページ14行目~79ページ10行目、参考書12の第4節4.4を読んでおくこと。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
・授業で扱った会話データを繰り返し視聴することを通して授業内容を確認しよう。
・日常の会話において「先取り完了」が起きる時、「先取り完了」をした話者はそれによって何をしているのか観察してみよう。
目安時間
Hours
2 時間
【第13回】 授業内容
Content/Topic
人・場所に言及する
 「成員カテゴリー化装置」
 「定式化」
予習内容
Preparation for Class
教科書の第5章、第1章1-3、1-4を読み、参考書4(特に3.3~3.5)、もしくは参考書15に目を通しておくこと。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
日常の会話の中で人や場所が言及されている事例をできるだけ多く集め、授業内容を振り返った上で、話者がどのようなことに志向してそうした言及の仕方をしているのか考察してみよう。 目安時間
Hours
2 時間
【第14回】 授業内容
Content/Topic
心に言及する
 「心的なこと」の相互行為的達成
予習内容
Preparation for Class
教科書の第9章9-1、9-5、9-6を読んでおくこと。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
授業内容を振り返った上で、「心的なこと」が「相互行為に埋め込まれている」「相互行為的に達成される」とはどういうことか、具体的な事例を挙げて考察してみよう。 目安時間
Hours
2 時間
【第15回】 授業内容
Content/Topic
期末レポートについて
 各テーマと分析のポイント
予習内容
Preparation for Class
参考書4と8に目を通しておくこと。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
設問に取り掛かる前に、該当する授業内容を確認し、教科書・参考書を読み直そう。 目安時間
Hours
2 時間
授業に関する注意事項   
Remarks for Class
会話分析という研究手法は、会話データを繰り返し見て、物凄く細かいこと、場合によってはコンマ何秒単位で生じたことをも見逃さないようにすることが求められます。その意味では非常に根気の要る作業になるかもしれません。そうであっても、むしろ、そのようなミクロな部分に「社会」が表れているのだという驚きをもって、新鮮な気持ちで、楽しむぐらいの姿勢で臨んでほしいと思います。
教科書   Texts 前田泰樹・水川喜文・岡田光弘『ワードマップ・エスノメソドロジー』(新曜社:2007年)
参考書   Reference Books 1.西阪仰「電話の会話分析―日本語の電話の開始」山崎敬一編『実践エスノメソドロジー入門』 有斐閣 2004年 第8章
2.E.シェグロフ/H.サックス「会話はどのように終了されるのか」G.サーサス/H.ガーフィンケル/H.サックス/E.シェグロフ(北澤裕/西阪仰訳)『日常性の解剖学』マルジュ社 1995年 p176-241
3.鶴田幸恵「名乗りのない名乗り―携帯電話における会話の始まり」山崎敬一編『モバイルコミュニケーション-携帯電話の会話分析』大修館書店 2006年 第4章
4.五十嵐素子「携帯電話を用いた道案内の分析」 上記第9章
5.高木智世・細田由利・森田笑『会話分析の基礎』第3章「順番交替の組織」
6.同第4章「連鎖の組織と優先組織」
7.同第5章「修復の組織」
8.同第6章「物語を語ること」
9.D.メイナード(樫田美雄・岡田光弘訳)『医療現場の会話分析-悪いニュースをどう伝えるか』 勁草書房 2004年 第4章「ニュースを伝えるシークエンス」
10.串田秀也・平本毅・林誠『会話分析入門』第4章「連鎖組織」
11.同第5章「順番交替組織」
12.同第6章「発話順番の構築」
13.同第7章「物語を語る」
14.同第8章「修復」
15.同第10章「成員カテゴリーの使用」
課題フィードバック方法区分
Assignment Feedback Method
授業時間内に講評・解説を行い、授業時間外はmanabaで行う
課題フィードバック方法内容
Assignment Feedback Method Content
成績評価の基準   
Evaluation Criteria
毎回の授業におけるデータ分析、2回の小レポート、および期末レポートによって、次のようなことがどれだけ提出物に反映されているかを評価します。


・会話データを見て詳細に観察し分析できているか
・何が起きているかを相互行為の次元で分析できているか
・気付かれていない現象をすくい上げることへの志向があるか
・概念を正確に扱っているか
・規範に気付くセンスがあるか
・データに基づいた合理的な分析と記述ができているか

その上で、成績評価においては、出席回数(10%)、能動的な姿勢(10%)、データ分析力(40%)、データ分析結果の記述力(40%)などを踏まえ、総合的に評価します。
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備考   Notes
添付ファイルの注意事項   Notice
更新日時   Date of  Update 2024年02月23日 18時10分02秒