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授業情報
※身につく能力について
複数の学科・専攻・コースで開講されている科目は、開講を担当する学科・専攻・コースの定めた「身につく能力」を表示しているため、履修要項・大学院要覧記載の「身につく能力」とは異なるものが表示されていることがあります。
授業によっては、「身につく能力」の記載がない場合もあります。
そのため「身につく能力」については履修要項・大学院要覧も確認するようにしてください。
授業コード   Course Code 1NC0855000
授業開講年度   Year of Class 2024年度
授業形態   Course Mode 講義(対面授業)
授業名称   Class Name PSADL313精神分析学
テーマ   Theme
科目名   Name of Subject PSADL313精神分析学
英字科目名
English Name of Subject
Psychoanalysis
身につく能力
Ability to be Acquired in This Class
◎=科目に最も関連する能力
〇=科目に関連する能力
知識・理解 豊かな人間性と幅広い視野
知識・理解 心理学の方法論と専門的な知識
汎用的技能 心理学の方法論と技能
汎用的技能 心理的課題に取り組み、支援できる技能
態度・志向性 現代社会の様々な課題に取り組む積極的な姿勢
態度・志向性 他者との関わりを通じた豊かな人間性と幅広い視野
態度・志向性 協調的・共生的に関わり、支援する力
統合的な学習経験と創造的思考力 自他のキャリア発達と、総合的心理支援力
科目単位数   Credit 2
履修期   Term 春学期
教員氏名   Name of Teacher 鳥越 淳一
開講キャンパス   Campus 白金
曜時   Day and Period 金曜4時限(春学期)
授業概要   Course Description 精神分析は120年ほど前にフロイトが創設した代表的な心理療法の一つであり、様々な心理臨床領域で活用されている。本講義では、精神分析の歴史、概念、意義、効果及び限界を踏まえつつ、精神分析的な人間理解と治療過程を理解することを目的としている。また、精神分析の核をなす「無意識」という概念は理論的理解だけではなく、体験的理解を必要とするため、授業ではクラスディスカッションの場を設け、テキストで学んだことと体験していることをつなげる作業を行なう。
到達目標   Class Goals 精神分析という観点から、心の構造やメカニズムをどのように理解できるかを学修し、自己や他者の心の動きを説明できるようになることを目的とする。
授業言語   Language 日本語
アクティブ・ラーニング   Active Learning アクティブ・ラーニング対応
授業計画
Daily Class Schedule
【第1回】 授業内容
Content/Topic
イントロダクション:精神分析の創設とフロイトの人生
ジグムント・フロイトは心理学や精神医学の世界では非常に有名であるが、フロイトがどのような時代を生きたのか、またどのような背景から心に興味を持ち、臨床を始めたのか知っている人は意外に少ない。精神分析が創設された経緯と心理療法の歴史における精神分析の重要性について学ぶ。
予習内容
Preparation for Class
フロイトおよび精神分析にについて調べてくる。 目安時間
Hours
3 時間
復習内容
Review of Class
授業を踏まえ、精神分析およびフロイトについてまとめてくる。 目安時間
Hours
1 時間
【第2回】 授業内容
Content/Topic
ヒステリー研究
フロイトの研究・臨床は、ヒステリーという19世紀末に非常によく見られた疾患から始まっている。この病いは器質的なものなのか、神的なものなのか?当時の医師たちはこの病気の真の原因が見出せず途方に暮れていた。そのような病理に対してフロイトがどのように取り組んだのかを概観し、「ヒステリー研究」が世間に与えた影響について考える。
予習内容
Preparation for Class
フロイト著作集7「エリザベート・フォン・R嬢」 p.107-153 人文書院を読んで、予習課題①に答えてくる 目安時間
Hours
3 時間
復習内容
Review of Class
授業を踏まえ、ヒステリーについてまとめる。 目安時間
Hours
1 時間
【第3回】 授業内容
Content/Topic
防衛-神経精神症
精神病理についての新しい見方について理解する。ここでは、当時未完だった「心理学草稿」についても触れる。この時期は前精神分析期とも呼ばれ、神経生物学の影響が色濃く残っている。精神疾患や精神障害を科学的に解明しようとしたフロイトの構想を、また、ヒステリー症状・恐怖症・強迫症の背後にあるメカニズムをどのように理解したかを学ぶ。
予習内容
Preparation for Class
フロイト著作集 6「防衛-神経精神症 」 p.7-17 人文書院を読み、予習課題②に答えてくる。 目安時間
Hours
3 時間
復習内容
Review of Class
授業を踏まえ、防衛のメカニズムにについてまとめる。 目安時間
Hours
1 時間
【第4回】 授業内容
Content/Topic
夢解釈
夢・ファンタジー・白昼夢を学び、「夢は無意識理解への王道である」と言われる理由を理解する。「夢解釈」でフロイトは、夢は覚醒時の精神活動とは区別され、それ独自の法則に従う秩序立った精神活動であると主張する。そしてこれが精神分析の幕開けとなる。どのようにフロイトが夢に取り組んだかを学ぶ。
予習内容
Preparation for Class
フロイト著作集2 「夢判断の方法 」 p.83-104 人文書院を読み、予習課題②に答えてくる。 目安時間
Hours
3 時間
復習内容
Review of Class
授業を踏まえ、夢のメカニズムについてまとめる。 目安時間
Hours
1 時間
【第5回】 授業内容
Content/Topic
精神-性発達論
性と心の発達の関連性について学び、フロイトが性に着目した経緯とそれによって開かれた新しい人間観を理解する。「性」に関する研究および性が人の心に与える影響についての発想は「夢」の研究と並んで最も重要な仕事と考えられている。フロイトがどのように「性」について考え、取り組んだのかを学ぶ。
予習内容
Preparation for Class
ブレナー著 「精神分析の理論Ⅱ章」 p.18-38 誠信書房を読み、予習課題④に答えてくる。 目安時間
Hours
3 時間
復習内容
Review of Class
授業を踏まえ、フロイトの性欲論についてまとめる。 目安時間
Hours
1 時間
【第6回】 授業内容
Content/Topic
フロイトの症例①:ドーラ
フロイトは症例「ドーラ」の治療を介して、転移を発見し、その後数十年に渡って発展させていった。一方、逆転移に関しては、フロイトは生涯でわずか2回しか言及していない。しかし、現代ではどちらもが治療には欠かせない鍵概念となっている。フロイトがどのように転移を発見したか、また転移や逆転移がいかに精神分析治療において重要な役割を果たしているかを理解する。
予習内容
Preparation for Class
フロイト著作集 5「あるヒステリー症例分析の断片(ドーラ)」p.276-301人文書院を読み、予習課題⑤に答えてくる。 目安時間
Hours
3 時間
復習内容
Review of Class
授業を踏まえて、転移・逆転移についてまとめる。 目安時間
Hours
1 時間
【第7回】 授業内容
Content/Topic
フロイトの症例②:少年ハンス
症例「ハンス」は子どもの最初の精神分析的治療の報告である。実際、ハンスを治療したのはフロイトではなく、ハンスの父親であり、フロイトはいわば父親のスーパーバイザーという立場であったが、当時は珍しい取り組みだった。この症例は、幼児における性欲の重要性を確証するものであり、その後、精神分析は児童分析を行うようになっていく。精神分析における精神発達の考え方について学ぶ。
予習内容
Preparation for Class
フロイト著作集 5「ある5歳男児の恐怖症の分析(少年ハンス)」p.173-184人文書院を読み、予習課題⑥に答えてくる。 目安時間
Hours
3 時間
復習内容
Review of Class
授業踏まえ、児童の精神分析についてまとめる。 目安時間
Hours
1 時間
【第8回】 授業内容
Content/Topic
フロイトの症例③:鼠男
症例「鼠男」は重度の強迫症状を有していたが、フロイトは、ヒステリー症例で試みたものと同じ技法を用いて精神分析治療が可能であるという見解を示す。またこの症例は、フロイトの面接記録がそのままの状態で利用可能ということから様々な議論がなされてきている。いくつかの症例再考を紹介し、症例研究・事例研究が臨床に与える影響について考える。
予習内容
Preparation for Class
「強迫神経症の一例についての見解(鼠男)」を読み、予習課題⑦に答える。 目安時間
Hours
3 時間
復習内容
Review of Class
授業を踏まえ、精神分析の強迫症へのアプローチについてまとめる。 目安時間
Hours
1 時間
【第9回】 授業内容
Content/Topic
フロイト後期理論①:二元欲動論
1920年代、フロイトの思考は大きく転回する。それまでのフロイトのモデルは「快ー不快」の原則を軸に構築されていたが、実際の臨床では必ずしも快を求め、不快を避けるばかりでないことにフロイトは気づき始める。快原則を裏切るようなことをするのはなぜか?良くなったと思ったら悪化するのはなぜか?フロイトは「生の欲動(エロス)と死の欲動(タナトス)」を軸に提唱した新たな仮説を学ぶ。
予習内容
Preparation for Class
フロイト著作集 6「快原理の彼岸」p.150-163人文書院を読み、予習課題⑧に答えてくる。 目安時間
Hours
3 時間
復習内容
Review of Class
授業を踏まえ、二元欲動論についてまとめる。 目安時間
Hours
1 時間
【第10回】 授業内容
Content/Topic
フロイト後期理論②:集団心理学と自我分析
フロイトは集団の心理学に精神分析の個人の心理学が適用可能か、反対に、集団についての精神分析的な研究は個人の心の機能について何かを教えてくれるか、といったことについて考え始める。またフロイトは教会や軍隊のような集団がどのように個に影響を与えるのか、指導者に対する理想化(自我理想)がどのように個の生き方に影響を与えるかを考察する。集団の心理と個の心理について精神分析的観点でフロイトがどのように考えていたかを学ぶ。
予習内容
Preparation for Class
フロイト著作集 6「集団心理学と自我分析」p.195-204人文書院を読み、予習課題⑨に答えてくる。 目安時間
Hours
3 時間
復習内容
Review of Class
授業を踏まえ、集団心理や自我理想についてまとめる。 目安時間
Hours
1 時間
【第11回】 授業内容
Content/Topic
フロイト後期理論③:自我・イド、制止・症状・不安
「自我とイド」ではフロイトが思考を転回させた後の諸仮説を統合している重要な文献である。第1局所論で知られる「無意識・前意識・意識」という心のモデルは、第2局所論で知られる「自我・イド・超自我」という心のモデルが追加されることでさらに洗練されていく。そして、不安の発生にかかわる理論を大きく転回することになる。新しい心のモデルと不安理論について学ぶ。
予習内容
Preparation for Class
フロイト著作集 6「自我とエス」p.263-284人文書院を読み、予習課題⑩に答えてくる。 目安時間
Hours
3 時間
復習内容
Review of Class
授業を踏まえ、構造論や後期不安理論についてまとめる。 目安時間
Hours
1 時間
【第12回】 授業内容
Content/Topic
フロイト後期理論④:自我の分裂、終わりある分析と終わりのない分析
フロイトの神経症と精神病の違いについての考察を深める中で、現実の否認や自我の分裂という概念を発展させていく。この「分裂」は、精神分析の中で多くの議論が行われてきた概念の一つであり、どのように発展し現代の臨床に影響を与えているのかを学ぶ。また、フロイトが晩年に書いた「終わりのある分析と終わりのない分析」について紹介し、精神分析の治療に時間がかかる理由を考える。
予習内容
Preparation for Class
「防衛過程における自我分裂」を読み、予習課題釋⑪に答えてくる。 目安時間
Hours
3 時間
復習内容
Review of Class
授業を踏まえ、集団心理や自我理想についてまとめる。 目安時間
Hours
1 時間
【第13回】 授業内容
Content/Topic
治療論①:治療設定と治療的介入
精神分析の技法についての考えは、1904年から1919年にかけて発表された一連の小論に見出される。どのような治療環境が設定されるのか?また自由連想とは一体何か?精神分析治療の基本について理解する。
予習内容
Preparation for Class
ギャバード著 「精神力動的精神療法」p.51-70 岩崎学術出版社を読み、予習課題⑫に答える。 目安時間
Hours
3 時間
復習内容
Review of Class
授業を踏まえ、精神分析治療の基本についてまとめる。 目安時間
Hours
1 時間
【第14回】 授業内容
Content/Topic
治療論②:抵抗とワークスルー
「抵抗」は精神分析が催眠療法と袂を分つことになる重要な発見であった。「抵抗」は様々な形で治療の中に存在し、治療を阻害する心理的動きを指すが、どのような抵抗がどのように治療の中で生じ、そして、それをどのようにワークスルーするのかを理解する。
予習内容
Preparation for Class
ギャバード著 「精神力動的精神療法」p.119-140 岩崎学術出版を読み、予習課題⑬に答えてくる。 目安時間
Hours
3 時間
復習内容
Review of Class
授業を踏まえ、抵抗とワークスルーについてまとめる。 目安時間
Hours
1 時間
【第15回】 授業内容
Content/Topic
これまでの内容の総括
授業内テストなどで特に正答率が低かったところや重要なポイントをまとめた資料を配布する。
予習内容
Preparation for Class
総括用の予習課題⑭に答えてくる。 目安時間
Hours
3 時間
復習内容
Review of Class
前期で取り扱った内容について理解の定着度を再確認し、精神分析についての理解を深める。 目安時間
Hours
1 時間
授業に関する注意事項   
Remarks for Class
基本、毎回、事前に読まなければならない資料があり、それに回答する課題がある。授業内ではそれを踏まえたディスカッションがある。
教科書   Texts 使用しない。随時、関連する資料を配布する。
参考書   Reference Books 特になし。
課題フィードバック方法区分
Assignment Feedback Method
授業時間内に講評・解説を行う
課題フィードバック方法内容
Assignment Feedback Method Content
成績評価の基準   
Evaluation Criteria
予習課題60%:毎回読み物の資料が課題として出る。その内容理解について出題する。
授業内確認テスト40%:授業の最後にその回の内容理解に関する確認のテストを行う。
関連URL   Related URL
備考   Notes 3分の2以上の欠席があった場合は評価の対象外となります。公欠は大学が認めたものに限ります。その他の理由(就活や部活・サークル活動)による欠席は、原則5回以内に収まるよう各自で調整してください。
添付ファイルの注意事項   Notice
更新日時   Date of  Update 2024年02月26日 23時08分50秒