授業情報
※身につく能力について
複数の学科・専攻・コースで開講されている科目は、開講を担当する学科・専攻・コースの定めた「身につく能力」を表示しているため、履修要項・大学院要覧記載の「身につく能力」とは異なるものが表示されていることがあります。
授業によっては、「身につく能力」の記載がない場合もあります。
そのため「身につく能力」については履修要項・大学院要覧も確認するようにしてください。
授業コード Course Code |
1QCE1Z1202
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授業開講年度 Year of Class |
2024年度
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授業形態 Course Mode |
講義(対面授業)
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授業名称 Class Name |
社会科・地理歴史科教育研究1
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テーマ Theme |
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科目名 Name of Subject |
社会科・地理歴史科教育研究1
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英字科目名 English Name of Subject |
Studies in History & Geography Edu 1
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科目単位数 Credit |
2
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履修期 Term |
秋学期
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教員氏名 Name of Teacher |
渡部 竜也
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開講キャンパス Campus |
白金
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曜時 Day and Period |
金曜3時限(秋学期)
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授業概要 Course Description |
地理教育に焦点を絞り、市民性育成における地理教育の果たす可能性と限界について考察する。
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到達目標 Class Goals |
地理教師として自らの地理教育のビジョンを持ち、それを指導計画の形で具体的にあげることができる。
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授業言語 Language |
日本語
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アクティブ・ラーニング Active Learning |
アクティブ・ラーニング対応
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授業計画 Daily Class Schedule
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【第1回】
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授業内容 Content/Topic
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地理教育の課題①:総論ーある意味で実用的過ぎる地理教育ー 歴史教育の問題の一つが、その知識内容の「実用性の欠落」(H・ホワイト)にあるとするならば、地理教育の問題は「実用的過ぎる」面にあるのかもしれない。国家権力や世俗的なこととは一定の距離をとろうとする傾向にある歴史学とは異なり、地理学は常に社会貢献を考えてきた学問である。だがそれは時に、国家権力や社会的常識に取り込まれてしまい、共犯関係を構築しやすい傾向にある。我が国最初の地理学者が本格的に学問的内容を取り込んだ児童中心的視座もある教科書が登場したのが戦争中であるという事実から、地理教育の課題について取り上げる。
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予習内容 Preparation for Class
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「国家・社会の形成者の育成」という社会科教育の目的から見たときの地理教育の課題について考えてきてほしい。
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目安時間 Hours
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2 時間
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復習内容 Review of Class
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戦争中に登場した国定地理教科書(昭和18・19年版)と、それより前の国定地理教科書(昭和14年版)を比較して、両者の違いについてできるだけ多く発見してきてほしい。
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目安時間 Hours
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2 時間
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【第2回】
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授業内容 Content/Topic
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地理教育の課題②:なぜ学問主義的(地理学重視)で児童中心主義的な国定教科書が戦争中に登場したのか? ナチスの教科書も、学問的で児童中心的である。教育が学問重視で児童中心的であることは、民主主義教育の必要条件ではあるが、十分条件ではない。考えて見てほしい。あなたが国家の指導者であるとして、自国の戦争が正義であり、勝利が約束されていることを国民に啓蒙したいなら、そのとき、教科書を通して感情的または神秘的な説得を試みるか、それとも学問的な説得を試みるか。またそれをどう子どもに伝えようとするだろうか。
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予習内容 Preparation for Class
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戦争中に登場した国定地理教科書(昭和18・19年版)と、それより前の国定地理教科書(昭和14年版)を比較して、両者の違いについてできるだけ多く発見してきてほしい。
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目安時間 Hours
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2 時間
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復習内容 Review of Class
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地理学に限らず、様々な学問がこれまで国家権力に利用されてきた(国家に貢献することで学問の社会的地位を向上させようとして、結果的に共犯関係になってきた)。地理学以外にこうした事例があるのかを調べてくること。
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目安時間 Hours
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2 時間
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【第3回】
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授業内容 Content/Topic
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地理教育の課題③:現在まで続く地理学と国家権力の蜜月関係 現在の地理学のすべてが国家権力と蜜月関係にあるわけではないが、だいたい地理学は時流に乗ろうとする。国土開発が叫ばれているときは、国土開発に貢献する地理学が台頭して、国家に貢献してきたし、現在は国土保全や防災が叫ばれているが、それに見合った地理学が台頭している。そして我が国の学習指導要領や地理教科書は、そうした学会主流派の動向がそのまま反映されている。
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予習内容 Preparation for Class
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草原和博・渡部竜也編『“国境・国土・領土”教育の論点・争点』(明治図書)の地理教育の領土関係の記載の変遷について読んでおくことが望ましい。
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目安時間 Hours
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2 時間
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復習内容 Review of Class
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ゲートキーピングの重要性を理解する。
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目安時間 Hours
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2 時間
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【第4回】
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授業内容 Content/Topic
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なぜ我が国は地誌教育を重視するのか:学習指導要領を読む 地理教育が学習指導要領に必修として登場するのは、ナショナル・アイデンティティの形成という仕事があるからであることを理解する。
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予習内容 Preparation for Class
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地誌と系統地理、自然地理と人文地理の違いについて調べてくること。
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目安時間 Hours
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2 時間
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復習内容 Review of Class
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学校教育以外でも、地理的な事項や地図がナショナル・アイデンティティを形成してきたことを示す証拠はないか考えてくる。
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目安時間 Hours
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2 時間
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【第5回】
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授業内容 Content/Topic
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我が国のカリキュラムは、全体的に地誌的である:同心円拡大カリキュラムと環境拡大カリキュラム 世界どこの国でも小学校の社会系教科は同心円的拡大を採用していると考えるなら大間違い。アメリカは環境拡大カリキュラムという、系統地理的なスタイルなのだ。どちらが主権者の形成に寄与するだろう。
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予習内容 Preparation for Class
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(特になし)
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目安時間 Hours
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2 時間
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復習内容 Review of Class
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森分孝治「社会科の本質」『社会科教育研究』79号を読んでくること。
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目安時間 Hours
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2 時間
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【第6回】
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授業内容 Content/Topic
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国境や行政区単位で区切らない地誌学習の課題:自然環境の特質で世界を区切る地誌学習 人は自然環境だけに影響を受けているわけでも、国家権力だけに影響を受けているだけでもない。だから分析主題の決定に先立って分析範囲を決めることは不可能である。政策の影響を考察したいのなら「広島県」などの行政区分で見ることは合理的だが、農業の特性を理解したいのなら「広島県」という行政区分よりも、瀬戸内地域と内陸地域、都市近郊と遠隔地といった区分の方が合理的だろう。
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予習内容 Preparation for Class
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環境決定論という言葉について調べておく。
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目安時間 Hours
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2 時間
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復習内容 Review of Class
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本来、地域にも時間にもそれを分かつ線引きは存在しない。線引きをするのは人間であり、そこにはそうした線引きをする者たちの価値判断がある。
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目安時間 Hours
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2 時間
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【第7回】
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授業内容 Content/Topic
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地誌学習の課題の克服の試み:中本実践「オーストラリアの多文化主義」を地誌学習として読み直す。
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予習内容 Preparation for Class
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地誌学習が持つ課題を克服するには、どうしたらよいのか前もって考えてくる。
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目安時間 Hours
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2 時間
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復習内容 Review of Class
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地誌学習に政治的な問題を取り込むことが、どうして合理的なのかを考えてみる。
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目安時間 Hours
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2 時間
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【第8回】
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授業内容 Content/Topic
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系統地理学習の課題:我が国の教科書の系統地理の記載部分と外国のそれとの比較
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予習内容 Preparation for Class
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国内外の系統地理の学習を論じた研究・著書について集めてきてほしい。
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目安時間 Hours
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2 時間
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復習内容 Review of Class
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どうして外国の教科書と比べて、日本の教科書の系統地理の内容についての記述がここまで常識的なのかを考察してくること。
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目安時間 Hours
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2 時間
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【第9回】
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授業内容 Content/Topic
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世界の系統地理学習の展開:GIGIについて調べてみよう
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予習内容 Preparation for Class
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GIGIについて、先行研究を集めて読んでおくと、本時の理解は高まるだろう。
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目安時間 Hours
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2 時間
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復習内容 Review of Class
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こうした事例が他にないか、調べてみよう。
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目安時間 Hours
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2 時間
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【第10回】
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授業内容 Content/Topic
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地図学習:写実論と構成論 常識的な地図学習は、地図が情報を正確に写し取っている(写し取るべき)という世界観に基づいて立脚していた。でもそれが地図学習の可能性を狭めている。地図を構成論として読み解くとは何か。
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予習内容 Preparation for Class
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地図学習を論じた論文や著書を集めてくること。
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目安時間 Hours
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2 時間
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復習内容 Review of Class
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江戸時代の地図(行基図)をみて、当時の人たちが地図に何を求めていたのかを考える。
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目安時間 Hours
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2 時間
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【第11回】
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授業内容 Content/Topic
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近代的な地図と国家権力:地図の歴史 地図と国家権力は切っても切り離せない関係にあることを知る。地図は社会的に構成されており、だからこそ地図は生活に役立つし、逆に誰かに利用されたりもする。 中近東・極東といった表現、日本海をめぐる議論、竹島や北方領土という概念など、地図に登場する名称についても注目する。
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予習内容 Preparation for Class
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戦争中の国定地理の教科書にでかでかと描かれた地図の意図について考えてくる。
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目安時間 Hours
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2 時間
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復習内容 Review of Class
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日本列島を大陸から見る地図が最近注目されているが、こうした地図の見方をさせようとする側の意図について考えてくること。
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目安時間 Hours
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2 時間
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【第12回】
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授業内容 Content/Topic
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研究と地図 データを地図に示すことで、わかってくることがある。様々な地図に触れてみよう。
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予習内容 Preparation for Class
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見た目の面白い地図を探してくること。それらの教材としての可能性を考えてくること。
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目安時間 Hours
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2 時間
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復習内容 Review of Class
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地図学習についての自らの構想を持てるようになること。
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目安時間 Hours
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2 時間
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【第13回】
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授業内容 Content/Topic
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地理的分野・高校地理の模擬授業1:地誌
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予習内容 Preparation for Class
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各自、主題を決めて、地誌の授業を作成してくること。
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目安時間 Hours
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2 時間
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復習内容 Review of Class
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模擬授業の省察で出てきた意見を踏まえて、再考察すること。
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目安時間 Hours
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2 時間
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【第14回】
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授業内容 Content/Topic
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地理的分野・高校地理の模擬授業2:系統地理
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予習内容 Preparation for Class
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各自、主題を決めて、系統地理の授業を作成してくること。
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目安時間 Hours
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2 時間
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復習内容 Review of Class
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模擬授業の省察でできてきた意見を踏まえて、再考察すること。
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目安時間 Hours
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2 時間
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【第15回】
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授業内容 Content/Topic
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「地理総合」について考える(動画)
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予習内容 Preparation for Class
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学習指導要領高校地理歴史科「地理」分野の記載内容の確認 地理総合が主題中心であり、いわゆる系統地理型であることを踏まえて、本講義で学んだこと(海外の系統地理学習)を生かした授業づくりとしてどんなことができるかを解説する。
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目安時間 Hours
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2 時間
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復習内容 Review of Class
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学習指導要領の「地理総合」「地理探究」の記載内容を読み直す
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目安時間 Hours
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2 時間
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授業に関する注意事項 Remarks for Class |
出席が全体の4分の3に満たない者に単位を認めない。 対面を予定している。
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教科書 Texts |
特になし
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参考書 Reference Books |
特になし
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課題フィードバック方法区分 Assignment Feedback Method |
授業時間内に講評・解説を行い、授業時間外はmanabaで行う
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課題フィードバック方法内容 Assignment Feedback Method Content |
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成績評価の基準 Evaluation Criteria |
授業への参加度(30%)+指導案&模擬授業またはレポート(70%)の出来具合から総合的に判断する。
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関連URL Related URL |
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備考 Notes |
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添付ファイルの注意事項 Notice |
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更新日時 Date of Update |
2024年03月19日 15時00分42秒
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