シラバス情報

授業情報
※身につく能力について
複数の学科・専攻・コースで開講されている科目は、開講を担当する学科・専攻・コースの定めた「身につく能力」を表示しているため、履修要項・大学院要覧記載の「身につく能力」とは異なるものが表示されていることがあります。
授業によっては、「身につく能力」の記載がない場合もあります。
そのため「身につく能力」については履修要項・大学院要覧も確認するようにしてください。
授業コード   Course Code 1QCE2Z3201
授業開講年度   Year of Class 2024年度
授業形態   Course Mode 講義(対面授業)
授業名称   Class Name 社会科・地理歴史科指導法2
テーマ   Theme
科目名   Name of Subject 社会科・地理歴史科指導法2
英字科目名
English Name of Subject
Methods of Teaching History, Geography and Social Studies2
科目単位数   Credit 2
履修期   Term 秋学期
教員氏名   Name of Teacher 渡部 竜也
開講キャンパス   Campus 白金
曜時   Day and Period 金曜2時限(秋学期)
授業概要   Course Description 「社会科歴史教育論」と「歴史科歴史教育論」の対立を始め、さまざまな歴史教育をめぐる様々な議論について一通り把握するとともに、それを踏まえて自らの歴史教育論の完成を目指す。
到達目標   Class Goals 教科書の記載内容をどう面白く子どもたちに伝えるのか・・・といった問題意識から脱却し、歴史教育で子どもたちに何が出来るのか、何をするべきなのか、といった問題意識を持って歴史教育についての自らのビジョンを持てるようにする。
授業言語   Language 日本語
アクティブ・ラーニング   Active Learning アクティブ・ラーニング対応
授業計画
Daily Class Schedule
【第1回】 授業内容
Content/Topic
なぜ「小学校6年生の歴史学習」はまあまあ子どもたちに人気があるのか?:正統的周辺参加
必ずしも歴史学に通しているとは言えない人たちによる、歴史学的には間違ったことだらけのあの6年生の歴史学習(人物学習)は、小中学校社会科において、中1の地理と並んで最も支持されている、という不思議な現実について考察していく。
予習内容
Preparation for Class
シラバスを読んでくること 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
「正統的周辺参加」に関する著書や論文を読んで復習しておくことが望ましい 目安時間
Hours
2 時間
【第2回】 授業内容
Content/Topic
「社会科歴史」と「歴史科歴史」の違い
社会科という教科の枠内で行われる歴史教育と、そうではない歴史教育の概念上の違いについて触れ、それを授業計画レベルで理解する。実用主義の歴史教育論について深く考えてみる。
予習内容
Preparation for Class
前時学んだ「正統的周辺参加」について理解しておくこと。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
ヘイドン・ホワイト『実用的な過去』などを読んでおくと、より理解が深まる。 目安時間
Hours
2 時間
【第3回】 授業内容
Content/Topic
社会科歴史教育論①:来歴を知るための歴史
自分史、国家史、テーマ史・・・これらは来歴を知るための歴史と言える。人々は、自分がだれであるのかを確認するために、そして制度や法律がどうしてこのようになっているのかを深く理解するために、過去をひもとく。こうした世界観から歴史教育を開発しようと試みた数多くの実践に触れる。
予習内容
Preparation for Class
「社会科歴史」の定義を知っておくこと。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
キース・バートン&リンダ・レヴスティク著『コモングッドのための歴史教育』第4章「分析的探究スタンス」の「来歴を知るための歴史」を読んでくること。 目安時間
Hours
2 時間
【第4回】 授業内容
Content/Topic
社会科歴史教育論②:教訓を知るための歴史
子どもたちに歴史を学ぶ理由を尋ねると、もっとも多く挙げられるのが「過去から教訓を得るため」。しかし歴史学者はこうした思考を嫌う傾向がある。それは何故なのか。こうした思考に、主権者教育などに寄与する要素は無いのか。具体的な授業実践を通して考察していく。
予習内容
Preparation for Class
「社会科歴史」の定義を知っておくこと。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
キース・バートン&リンダ・レヴスティク著『コモングッドのための歴史教育』第4章「分析的探究スタンス」の「教訓を知るための歴史」を読んでくること。 目安時間
Hours
2 時間
【第5回】 授業内容
Content/Topic
社会科歴史教育論③:社会的価値の反省的吟味を目的にした学習(①②の応用編)
過去に下された価値判断を反省的に吟味させることを目的とした学習の意義や陥りやすい問題について、具体的な授業実践事例を通して考察していく。
予習内容
Preparation for Class
「社会科歴史」の定義を知っておくこと。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
溝口和宏氏の博士論文を読むと、理解が深まるだろう。 目安時間
Hours
2 時間
【第6回】 授業内容
Content/Topic
社会科歴史教育論④:現代社会の分析概念を提供するための歴史学習(①②の応用)
最近のBIGヒストリーの研究を活かした世界史プランや文化圏学習(原田智仁氏の歴史教育論)、はたまたウオーラステインの理論を取り入れた世界史構想などを紹介。ビックヒストリーのおもしろさと課題について考える。
予習内容
Preparation for Class
ビックヒストリー、世界システム論といった言葉について調べてきて欲しい。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
関連図書を読んで欲しい。 目安時間
Hours
2 時間
【第7回】 授業内容
Content/Topic
通史叙述がなぜ重視されてきたのか:時代区分の権力性
社会科歴史教育論が嫌われた理由の一つは、いずれも現在に問題意識を持つため、究極的には歴史を通時代的に扱うのではなく、地域や何らかの主題別に編成することになったことがある。かつて社会科歴史教育論に反対した人たちは、通史学習に一定の意義を見いだしていたことが反対の理由にあった。それは何故なのかを考えてみる。
予習内容
Preparation for Class
「古代」「中世」「近世」という時代区分と「縄文」「室町」といった時代区分の違いは何なのか。ナショナリストが愛する区分はどちらか?考えてきて欲しい。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
年号やイスラム暦など、暦や時代区分の持つ権力性・恣意性について考えをまとめて欲しい。
江戸時代の庶民は、元号を使っていたのかどうか、そして歴史をどのように考えていたのかについても考えてきて欲しい。そしてなぜ歴史は「物語」と呼ばれるのかについて考えを持てるようになってもらいたい。
目安時間
Hours
2 時間
【第8回】 授業内容
Content/Topic
歴史教育の客観性をめぐる問題
社会科歴史教育論を現在嫌う人たちのもう一つの問題意識が歴史の「現在主義」である。つまり現在の視点から歴史を見ることで、現在的なバイアスが歴史解釈に影響を及ぼし、「正しい歴史認識」を阻害したり、はたまた客観的・中立的に歴史を認識することを妨害するというのである。では「正しい歴史認識」とは何なのか。また「正しい歴史認識」を達成すれば、歴史を知ることは中立的・客観的に捉えることにつながるのかを考えてみる。正しい、そして客観的で中立的な記述をした歴史教科書は存在しえるのか?
予習内容
Preparation for Class
どうして歴史教科書論争が昔から今日まで繰り広げられるのかを考えて来て欲しい。それは正しい教科書と間違っている教科書があるからなのだろうか。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
教科書における歴史記述の限界について再確認しておくこと。 目安時間
Hours
2 時間
【第9回】 授業内容
Content/Topic
複数の歴史教科書を用いれば「正しい客観的・中立的歴史認識は保証されるのか?:学習指導要領の権力性
いずれの教科書も文部科学省の検定を受ける。その時、学習指導要領が持つ歴史観が大なり小なり反映されることになる。『琉球・沖縄史』(副読本)はなぜ作られたのかを考えることで、学習指導要領がもたらす歴史観の権力性を考えてみる。
予習内容
Preparation for Class
小学校学習指導要領、中学校学習指導要領、高等学校学習指導要領およびその解説を準備しておくこと。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
どうして小学校学習指導要領の6年の人物学習で扱われる登場人物は、男性が圧倒的に多いのかについて考えてみてほしい。 目安時間
Hours
2 時間
【第10回】 授業内容
Content/Topic
学習指導要領の歴史の取り扱いの変遷と学習指導要領が与える歴史観の変化について:学習指導要領と社会科歴史教育論及び歴史科歴史教育論
予習内容
Preparation for Class
検定制度に関する著書や論文を集めて読んでおくこと。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
新科目「歴史総合」「日本史探究」「世界史探究」はここまでに学んできた問題を解決するのかについて自分なりの意見を持てるようにする。 目安時間
Hours
2 時間
【第11回】 授業内容
Content/Topic
一次資料を用いて歴史解釈を主体的に行わせる学習について考える①:加藤公明実践と児玉康弘実践の比較から分かること
どうして加藤実践は子どもたちが生き生きしているのだろうか。ではどちらが歴史学の研究作法や研究成果の習得をより直接的に可能にする条件を保証しているのだろうか。その2つの答えは、この手の学習の避けがたいパラドクスを顕在化する。
予習内容
Preparation for Class
加藤公明氏を始め、主体的な歴史解釈を学校で進めようとする研究者や実践家の著書や論文に目を通しておいて欲しい。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
この手の学習が成立する条件があるとすれば、それは何かについて考えてきて欲しい。本当に子どもたちが小さな歴史家になりたいと考えるとすれば、それは「当時の民衆の姿を生き生きと描いた絵画資料」に出会った時なのか、との問いが大切である。 目安時間
Hours
2 時間
【第12回】 授業内容
Content/Topic
一次資料を用いて歴史解釈を主体的に行わせる学習について考える②:子どもたちについての調査結果から
主体的な歴史解釈を学校で進めようとする動きは世界中で見られる。それとあわせて海外では、この学習に関する調査研究が盛んである。そこから明らかになった議論について紹介する。
予習内容
Preparation for Class
どうして保守化が浸透する世界情勢の中で、こうした主体的な歴史解釈の学習が進展してきているのかについて考えてきてもらいたい。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
キース・バートン他『コモングッドのための歴史教育』の第4章の「歴史家と同じ思考をするための歴史学習」の節と、第10章「探究」の章を読むこと。 目安時間
Hours
2 時間
【第13回】 授業内容
Content/Topic
学校の外での子どもたちの歴史の学びと学校での歴史の学びのギャップ
子どもたちは学校だけで歴史を学んでいるのではない。むしろ学校外の方が、ずっと彼らの歴史認識に大きな影響を与えてきている(モニュメント、大河ドラマ、漫画、映画、小説、ゆるキャラ、そして口述の歴史)。また、学校での学びとはかなり形の異なる作法で人々は「歴史している(Doning Hidstory)」現実がある。こうした中で小中高の歴史教育は、「歴史学概説」で良いのかどうかを再検討してみる。
予習内容
Preparation for Class
学校以外の歴史の学びの場を考えてくること。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
学校教師は歴史学に特に関心の無い者たちに対して、歴史を教えることでどのような寄与ができるのか。またそうした寄与をするために、歴史教師は何をすべきなのか。自らの考えを持てるようにする。 目安時間
Hours
2 時間
【第14回】 授業内容
Content/Topic
あなたなら歴史の何をどう教えるか?
自分が教えたい歴史教育の具体的な形を寝棺指導計画や単元計画の形で表現してみよう。
予習内容
Preparation for Class
これまでの議論を復習しておくこと。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
年間指導計画を作成してくる。また一部について具体的な指導計画の形で作成してくる。 目安時間
Hours
2 時間
【第15回】 授業内容
Content/Topic
学習指導要領高校地理歴史科「歴史」分野の解説(動画)
予習内容
Preparation for Class
特に「歴史総合」に重点を置き、特に主題史・問題史構成の意義について論じる。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
今後の歴史教師としての自らの学びの見通しを持てるようにする。 目安時間
Hours
2 時間
授業に関する注意事項   
Remarks for Class
対面を予定している。
教科書   Texts 渡部竜也『Doing History:歴史で何ができるか』(清水書院、2019年)を購入すること
参考書   Reference Books キース・バートン&リンダ・レブスティク『コモングッドのための歴史教育』春風社、2015年
サム・ワインバーグ『歴史的思考』春風社、2017年など
課題フィードバック方法区分
Assignment Feedback Method
授業時間内に講評・解説を行い、授業時間外はmanabaで行う
課題フィードバック方法内容
Assignment Feedback Method Content
成績評価の基準   
Evaluation Criteria
定期試験の成績(50%)、及び授業への参加度(50%)を加味して判定する。
関連URL   Related URL
備考   Notes
添付ファイルの注意事項   Notice
更新日時   Date of  Update 2024年03月19日 15時00分42秒