シラバス情報

授業情報
※身につく能力について
複数の学科・専攻・コースで開講されている科目は、開講を担当する学科・専攻・コースの定めた「身につく能力」を表示しているため、履修要項・大学院要覧記載の「身につく能力」とは異なるものが表示されていることがあります。
授業によっては、「身につく能力」の記載がない場合もあります。
そのため「身につく能力」については履修要項・大学院要覧も確認するようにしてください。
授業コード   Course Code 2110009100
授業開講年度   Year of Class 2024年度
授業形態   Course Mode 講義(対面授業)
授業名称   Class Name MGCHR102キリスト教の基礎B/C1012キリスト教の基礎B
テーマ   Theme EB/JU/JC/JG
科目名   Name of Subject MGCHR102キリスト教の基礎B
英字科目名
English Name of Subject
Introduction to Christianity B
身につく能力
Ability to be Acquired in This Class
◎=科目に最も関連する能力
〇=科目に関連する能力
知識・理解 現代社会が抱える諸問題を捉えるための幅広い基礎知識
汎用的技能 多面的思考・判断力、コミュニケーション力
態度・志向性 多様性の尊重、他者貢献、自律的学習態度
統合的な学習経験と創造的思考力 課題発見力
統合的な学習経験と創造的思考力 解決策提示力、社会参画による他者貢献
科目単位数   Credit 2
履修期   Term 秋学期
教員氏名   Name of Teacher 永野 茂洋
開講キャンパス   Campus 横浜
曜時   Day and Period 木曜1時限(秋学期)
授業概要   Course Description キリスト教は、社会を形成し変革していく社会的、実践的エートスを強く持った宗教だと言われます。それは、キリスト教信仰の中核に良心的で主体的実践的な「人格」を創り出そうとする姿勢と、この世に公正で水平的な「社会」を造りだしていこうとする姿勢の二つの要素が強く内在しているからです。この特色は、日本の宗教文化とどのようにクロスしているのか。していないのか。秋学期はこの問いを念頭におきつつ、世界のあり方を批判的に考える知のあり方、信仰のあり方をキリスト教の歴史の中に学んで行きます。キリスト教の過去の経験から、自分が世界、他者、未来に向き合うのに必要な基本的姿勢についてヒントを得ることがこのクラスの究極的な目的です。そのために、秋学期も、外からは見えない主観的な事柄に迫って行くアプローチを大事にしたいと考えています。
到達目標   Class Goals 世界や、他者、未来に向き合っていく際に自分は何を重視するのか。これを自分の言葉で表現できるようになること。
授業言語   Language 日本語
アクティブ・ラーニング   Active Learning アクティブ・ラーニング対応
授業計画
Daily Class Schedule
【第1回】 授業内容
Content/Topic
キリスト教の拡大の歴史について  キリスト教の歴史的拡大、グローバル化の歴史の大まかな流れを押さえながら、キリスト教の歴史的展開の中でキリスト教信仰が果たしてきた役割と、キリスト教にとって「歴史」とは何かというキリスト教の歴史観について考えます。
予習内容
Preparation for Class
世界の宗教地図を各自検索して現代世界における各宗教の人口分布について調べてくる。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
授業での議論と配信資料を参考に、「宗教」と「信仰」との違いについて簡潔に答えられるようにまとめておく。 目安時間
Hours
2 時間
【第2回】 授業内容
Content/Topic
「故郷喪失」の時代における宗教とキリスト教  ローマ帝国の時代に属州ユダヤで誕生したキリスト教は、急速にローマ帝国内に伝播、拡大し、終にはローマ帝国の国教となるに至ります。そのキリスト教の拡大に伴って、ローマ帝国の西方地域では、後に「使徒信条」に結実する「信仰告白」(信条)が形を整えて行きます。ローマ帝国の片隅で誕生した宗教が、なぜローマ帝国の人々に「受容」されたのか。宗教が「受容」されるとはどういうことなのか。また、キリスト教信仰はなぜ新しい信仰の言葉を求めたのか。信仰を「告白」するとはどういうことなのか。これらの問いについて考えます。
予習内容
Preparation for Class
使徒信条について下調べをしてくる。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
密議宗教やミトラ教に替わって、キリスト教がローマ帝国内に拡大したのはなぜか。また、「使徒信条」が必要とされたのはなぜかを自分言葉で簡潔にまとめておく。 目安時間
Hours
2 時間
【第3回】 授業内容
Content/Topic
キリスト教にとって「人格」とは何か  ローマ帝国時代に、キリスト教では「三位一体」の教義の確立をめぐって非常に烈しい論争が行われました。この論争は単に「正統」と「異端」の対立という問題を越えて、信仰は「個人」の事柄なのか、それとも「共同体」の事柄なのかという問題を顕在化させました。それはキリスト教が「人格」をどう担保するかをめぐる論争でもありました。人間が「個人」であることと「人格」であることとは何がどう違うのかをこの論争から考えて行きます。
予習内容
Preparation for Class
「(旧)教育基本法」、および「改定教育基本法」の前文、および第1条、ヨハネ福音書1章1〜18節を読んでくる。また、「三位一体」について、各自下調べをしておく。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
授業での議論と配信資料を参考に、キリスト教が「人格」をどのように考えているかを自分の言葉でまとめておく。 目安時間
Hours
2 時間
【第4回】 授業内容
Content/Topic
「不安」の時代の宗教とキリスト教  古代末期の北アフリカに生きたアウグスティヌス(354-430)は、マニ教からキリスト教に改宗して多くの著作を著し、ヨーロッパ中世を経て現代に至るまで、カトリック教会だけでなく、プロテスタントの諸教会に対しても、また、西洋の哲学史・思想史においても、非常に大きな影響を与えた神学者です。彼の晩年の著作である『告白』の言葉を手がかりに、人が信仰を持つということはどういうことなのかについて考えます。
予習内容
Preparation for Class
アウグスティヌスの『告白』(部分)についての資料に事前に目を通しておく。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
授業での議論と配信資料を参考に、アウグスティヌスの信仰理解について整理し、まとめておく。 目安時間
Hours
2 時間
【第5回】 授業内容
Content/Topic
キリスト教の霊性(スピリチュアリティ)と労働観について  古代ローマ帝国の没落から中世ヨーロッパ世界の形成へと向かう大きな歴史的転換のなかで、古代ギリシア・ローマ文化が理想とした人間像がキリスト教的な人間像に大きく取って代わられて行きます。そして、その延長線上に、ヨーロッパでは近代資本主義的な「労働」のエートスが準備されて行きます。古代から中世にかけての修道院の歴史と、そこにおけるキリスト教の「信仰」との関わりから「労働」とは何かについて議論します。
予習内容
Preparation for Class
中世ヨーロッパの修道院運動について基本的な事柄を事前に調べておく。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
授業での議論と配信資料を参考に、キリスト教における「霊性」と「労働」との関わりについて整理し、まとめておく。 目安時間
Hours
2 時間
【第6回】 授業内容
Content/Topic
キリスト教における愛と自由の概念のについて  近代の初頭にドイツで起こった宗教改革によって、キリスト教世界は信仰の多様な形が併存する方向へと開かれていきます。人々を宗教改革に向かわせたものは何であったのか。ルターの著作から、ルターが「罪」や、「福音」、「愛」、「自由」などについてどのように自分の思索を深めて行ったかを見て行きます。
予習内容
Preparation for Class
ルターの『95箇条の提題』と『キリスト者の自由』を読んでくる。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
授業での議論と配信資料を参考にルターにとって「信仰」とは何であったかを自分の言葉で表現できるようにまとめておく。 目安時間
Hours
2 時間
【第7回】 授業内容
Content/Topic
キリスト教における寛容の問題について  西欧のキリスト教は、カルヴァン派(改革派)と洗礼派を生み出したスイスの宗教改革によって多様化が進んで行きます。キリスト教信仰の多様性の自覚は、自分の内面の自由をどう守り、確保するかという問題を超えて、自分とは異なる宗教や異なる信仰を持つ者、他者の内面の自由を認めるのかどうか、その自由をどのように確保するのかという、それまでにない全く新しい深刻な問題を提起していくことになります。人文主義と深く結びついたカルヴァンの生涯と思想、洗礼派の信仰のあり方から、宗教における寛容の問題について議論をして行きます。
予習内容
Preparation for Class
カルヴァンの生涯と思想に関する資料に目を通してくる。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
授業での議論を参考に寛容とはどういうことかについて自分の考えをまとめておく。 目安時間
Hours
2 時間
【第8回】 授業内容
Content/Topic
宗教と国家について(1)  イングランドの宗教改革とピューリタニズムの信仰運動の経験から、宗教における政治と信仰、国家と教会との関わりの問題について議論します。キリスト教だけではなく、時間があれば他宗教における国家と宗教のあり方についても取りあげます。
予習内容
Preparation for Class
ピューリタニズムと政治との関わりについて資料に目を通してくる。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
宗教とそれが理想とする政体との関係を整理しておく。 目安時間
Hours
2 時間
【第9回】 授業内容
Content/Topic
宗教と国家について(2)  国家と各人の信仰との対立が「政教分離」に向かう歴史について取りあげます。人類史における「帝権」と「教権」との長い対立の歴史は、ヨーロッパ中世と宗教改革を経てはじめて「政教分離」を実現して行くことになります。ルター派、カルヴァン派、洗礼派の影響をうけたイングランドの宗教改革と、イングランドを脱出して北アメリカへと移民したピューリタンたちの信仰のあり方から、「ヴァージニア権利章典」、「アメリカ合衆国憲法修正第1条」の実現に至る歴史と、それとは逆の方向に向かった明治維新とイラン革命について取りあげます。
予習内容
Preparation for Class
「ヴァージニア権利章典」(1776)、合衆国憲法修正第1条(1791)、ルソー『社会契約論』第4編第8章「市民の宗教について」(岩波文庫、191頁以下)を読んでくる。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
授業での議論と配信資料を参考に「政教分離」について整理しまとめておく。 目安時間
Hours
2 時間
【第10回】 授業内容
Content/Topic
日本とキリスト教との二回目の出会い  19世紀欧米の資本主義的グローバル化の中で、幕末から明治にかけてヨーロッパ、ロシア、アメリカから多くの宣教師たちが来日し、日本人は再びキリスト教と出会います。日本におけるキリスト教の新たな受容と葛藤、排斥の歴史がはじまっていきます。この回は、沖縄から始まる日本のプロテスタントキリスト教史の中で、明治学院の創立者であるヘボン博士らが伝えたプロテスタントの信仰、当時の日本人キリスト者の信仰がどのようなものであったかを見て行きます。
予習内容
Preparation for Class
事前配布のレジュメと資料プリントにあらかじめ目を通し、また、幕末から明治維新にかけての歴史について概観しておく。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
授業での議論と配信資料を参考に、キリスト教の宣教師たちの信仰の何が、どのように日本人に「受容」されたのか、またされなかったのかを整理しておく。 目安時間
Hours
2 時間
【第11回】 授業内容
Content/Topic
日本の国家宗教とキリスト教との衝突  日清・日露戦争から日中戦争・太平洋戦争を経て敗戦にいたる日本の近現代史のなかで、日本の教会とキリスト教学校は、国家の宗教政策に協力し、アジアへの侵略戦争に加担して行きます。国家と宗教が未分離で、信仰による個人の自律が脆弱だった日本の宗教的伝統の中で、日本のキリスト教は家族主義的国家観と結合し、本来の抵抗力を失って行きます。日本のキリスト教はなぜ抵抗できなかったのか。この問題を考察します。
予習内容
Preparation for Class
事前配布のレジュメと資料を読んでくる。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
授業での議論と配信資料を参考に、キリスト教と国家との関わりについて、これまで授業で触れてきた事柄を整理しまとめておく。 目安時間
Hours
2 時間
【第12回】 授業内容
Content/Topic
教会の「戦責告白」と信仰者の社会的責任  第2次世界大戦の敗戦後、ドイツの教会は、すぐに「シュトゥットガルト罪責宣言」(1945年)と、「ダルムシュタット宣言」(1947年)という、「戦争責任」とその「罪責」についての宣言を世界に向けて表明しました。それに比べて、日本の教会の「戦争責任告白」はずうと遅れ、20年後の1967年にようやく表明するに至ります。日本のキリスト教会は、なぜ自らの「罪責」に向き合うことができなかったのか。戦中に出された「日本基督教団より大東亜共栄圏に在る基督教徒に送る書簡」、1967年の「日本基督教団の戦争責任告白」を読み、宗教の「社会的責任」とは何かを考えます。
予習内容
Preparation for Class
「シュトゥットガルト罪責宣言」、「ダルムシュタット宣言」、、「日本基督教団より大東亜共栄圏に在る基督教徒に送る書簡」、「日本基督教団の戦争責任告白」、「明治学院の戦争責任・戦後責任の告白」を読んでくる。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
授業での議論と配信資料を参考にキリスト教にとって「罪責告白」、「戦責告白」とはどのような意味をもつかを整理しまとめておく。 目安時間
Hours
2 時間
【第13回】 授業内容
Content/Topic
明治学院の「戦争責任・戦後責任の告白」  前回の講義を受けて、この回は、1995年に日本の内外、特にアジアに向けてなされた「明治学院の戦争責任・戦後責任の告白」を振り返り、グループディスカッションを行います。
予習内容
Preparation for Class
「明治学院の戦争責任・戦後責任の告白」を読んでくる。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
授業での議論を参考に自分にとって「明治学院の戦責告白」とは何であるかを自分の言葉で表現できるようにしておく。 目安時間
Hours
2 時間
【第14回】 授業内容
Content/Topic
宗教と戦争  最終回は、これまでの授業を踏まえて、宗教と戦争について議論します。国家と結合した宗教は国家の戦争を精神的に支え正当化する役目を果たしていきます。戦死者を祭る役割を宗教が負っいるからです。この問題をどのように考えればよいか。戦争の問題を新約聖書に遡ってたどり直し、現在私たちは戦争について何をどのように考えるべきか議論します。
予習内容
Preparation for Class
マタイ福音書5章1節〜7章29節(山上の説教)、アウグスティヌスとトマス・アクィナスの資料にあらかじめ目を通してくる。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
授業での議論と配信資料を参考に、マタイ福音書5章1節〜7章29節(山上の説教)をめぐる解釈の変遷を整理しまとめておく。 目安時間
Hours
2 時間
【第15回】 授業内容
Content/Topic
学期末試験に向けて、春学期の授業内容をレジュメ、自分のノート、資料プリントを用いて振り返り復習しておく。授業で使用したスライドのpdf資料をmanabaで配信するので、それも参照して学期末試験に備える。
予習内容
Preparation for Class
春学期の授業内容をレジュメ、自分のノート、資料プリントを用いて振り返り復習しておく。 目安時間
Hours
2 時間
復習内容
Review of Class
pdf資料を閲覧し、内容を確認する。 目安時間
Hours
2 時間
授業に関する注意事項   
Remarks for Class
(1)授業情報とレポート課題等はmanabaを通してお知らせします。
(2)manabaには教員に個人的に連絡を取る「個別指導(コレクション)」という機能があります。欠席の連絡、アポ、相談、質問等に使ってください。
(3)manabaのスレッドを使って担当者から授業に関する応答を求めることがありますので、必ず応答するようにしてください。
(4)『聖書』を参照します。いつでも手もとに置いて開けるようにして授業に臨んでください。
(5)出欠、遅刻、公欠の扱い等については第1回のオリエンテーションで説明します。
(6)キリスト教について学ぶのは初めてだという人が圧倒的に多いと思います。質問を大歓迎します。
教科書   Texts 『日本聖書協会共同訳聖書』(旧約聖書と新約聖書の両方が入っているもの)を教科書の替わりに参照します。他の日本語訳聖書を持っている者はそれを使っても構いません。
参考書   Reference Books (1)E.R.ドッズ『不安の時代における異教とキリスト教』日本基督教団出版局、1981年。
(2)弓削達『ローマ皇帝礼拝とキリスト教徒迫害』日本基督教団出版局、1984年。
(3)坂口ふみ『個の誕生—キリスト教教理を作った人々』岩波書店、1996年。
(4)山田晶『アウグスティヌス講話』講談社学術文庫、1995年。
(5)マルティン・ルター『宗教改革3大文書 付95箇条の提題』深井智朗訳、講談社学術文庫、2017年。
(6)徳善義和『マルティン・ルター ことばに生きた改革者』岩波新書、2012年。
(7)徳善義和『キリスト者の自由・訳と註解』教文館、2011年。
(8)小田部進一『ルターから今を考える』日本キリスト教団出版局、2016年。
(9)森井眞『ジャン・カルヴァン・ある運命』教文館、2005年。
(10)矢内原忠雄『キリスト者の信仰VI現代社会とキリスト教』岩波書店、1982年、332〜379頁。
(11)宮田光雄「山上の説教の問いかけるもの」、『宮田光雄集V』岩波書店、1996年。
(12)明治学院大学『心に刻む』(明治学院の戦争責任・戦後責任の告白、1995年) 。
(13)明治学院敗戦50周年事業委員会編『未来への記憶 こくはく−敗戦50年・明治学院の自己検証−』(ヨルダン社、1995年)。
課題フィードバック方法区分
Assignment Feedback Method
授業時間内に講評・解説を行い、授業時間外はmanabaで行う
課題フィードバック方法内容
Assignment Feedback Method Content
成績評価の基準   
Evaluation Criteria
成績評価は平常点と学期末の定期試験により評価します。
(1)平常点50%(レポートとリアクションペーパー)
(2)学期末定期試験50%
関連URL   Related URL
備考   Notes
添付ファイルの注意事項   Notice
更新日時   Date of  Update 2024年03月05日 14時54分23秒